黄金の望月いつつ
同田貫と奈雲が月見してるだけ。ツイッターの呟きを文にしたもの
「はー、きれいだねぇ」
心地いい風が黒髪を揺らす。ふー、と息を吐いた少女、奈雲の視線の先には丸々と肥えた月が浮かんでいた。
「ねーねーたぬもそう思うよねー?」
「うっせーな」
隣に胡坐をかいて座っている同田貫に声をかければそっけなく返される。ちぇ、と笑いながら言いぼんやりと淡く輝く月に目を戻した。
人工的な光がないこの場所では月明かりだけが唯一の光源だ。しかし、淡い光が他の光に邪魔をされずにこちらに届くということが、とても神秘的なもののような気がした。
ふと、奈雲はあることを思った。
「たぬの目ってさ、お月さまみたいだよね」
「…は?」
同田貫の顔がこちらに向く。わけがわからないとでも言うように呆れた顔がぼんやりと見える。そんな中でも金の瞳が輝いていた。
「まん丸で、金色でさ。お月さまみたい」
「…」
少し間があき、ふい、と顔が逸らされ二つの月は見えなくなった。
「…三日月さんに言えよな、そういうのは」
三日月というのは、彼女の本丸では新参の刀でいつもほけほけと笑い、縁側で茶を飲んでいる爺のよう、いや、爺である。
彼は天下五剣の内の一振りで、その中でも一番美しいとされる刀で、その瞳には三日月が浮かんでいる。
ぱち、と瞬きをするとあはは、と奈雲は笑った。
「わたし、三日月も好きだけど満月が一番好きなんだー」
「…はっ、」
乾いた笑いを浮かべて同田貫は酒に口をつけた。奈雲はけらけらと笑いながら改めて月を見上げた。
明るい金の瞳が月明かりを反射して輝いていた。
月明かりに反射して、